友達が犯られた

この春、俺は高校の時からの友達、カズヤと同じ大学に進学した。
高校時代、カズヤはサッカー一筋だったんだけど、大学の入学式のとき、
「本格的なサッカーもちょっと疲れたかな」と言っていたので、
俺は軟派の極致、テニス＆スキー愛好会に一緒に入会しようと誘った。
とりあえずの体験入会で、カズヤは生まれて初めてのテニスを
それなりに楽しんでいたようだったので、俺はちょっと喜んでいた。
４月の終わりに愛好会で新人歓迎会があり、
酒も生まれて初めてだったカズヤはあっという間に酔い潰されてしまった。
二次会のカラオケ屋で、俺は動けなくなったカズヤを担ぎ出そうとした。
すると、四年次のブサイクな二人の女、マキとエミが
「私たちが介抱してあげるから置いといていいよ」と言った。
俺がためらっていると、同じ四年次のソウタさんが「行こうぜ」と言って
カズヤをその場に置いたまま、俺を隣の部屋に連れて行った。
ソウタさんは「かわいそうだけど、今からこの壁の向こうで、
お前の友達は童貞を奪われちまうよ」と言った。
それを聞いた俺が隣に戻ろうとしても「無駄だよ」と言って俺を制した。
その場にいたみんなは「今年もか」と言ってため息をついていた。
それから３０分くらいして、トイレから戻ってきた二年次のトシヒコさんが
「隣覗いたら、まさに今、カズヤ犯られてるよ。
あれは美女と野獣ならぬ美少年と雌獣だな。おっかねー」なんて言った。
カラオケの時間が終わって隣に行ってみたら、マキとエミはダベってて、
カズヤは相変わらず動けないでいて、何事もなかったかのようだった。
俺はカズヤをおぶって帰りながら、聞いてみた。
「なあ、カズヤ、マキさんとエミさんに何かされなかったか？」
カズヤは「別に」と言った後、俺の背中で静かに泣いていた。
カズヤは翌日は二日酔いで潰れていたが、翌々日、
「やっぱ、俺にはサッカーの方が合っているみたいだ」と言い、
愛好会への入会を取りやめ、サッカー部に入部した。
俺はカズヤに本当に申し訳ないことをしてしまったと思っている。
でも、実は、俺も喰われてみたかったな、と危ないことも考えている。
でも、女に狙われるにはカズヤみたいな美少年じゃないとダメかな。

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