我慢の限界
ひろ子
小学校4年生のとき、いつも意地悪をする隣席のS君に仕返しをするチャンスがきました。
それは3時間目の班ごとに分かれて学級新聞を作る時間のことでした。作業開始から20分ぐらい経った頃、Sくんの様子が変で無口で顔色も悪く時折、椅子の上で体を前後に揺すっていました。いつもならいたずらや悪口をやってくるのにおかしいなと思い「S君もちゃんと作業をやってよ」と言うと「うん…あぁ」と顔をしかめながら答えました。その表情や動作を見て「もしかしたらウンチを我慢してるのかな…」とわたしは思いました。小学校時代学校のトイレでウンチでもしようものなら大騒ぎで、特に男子の場合はウンチを出来ずに授業中にお漏らしをしてしまう子が年間2~3人ぐらいいました。
しばらくS君の表情を観察していると、2・3分おきに便意の波が襲ってくるようで苦渋の表情を浮かべ体は小刻みに震えています。これは間違いないと確信した私は日ごろのうっぷんを晴らす絶好のチャンスと彼にアタックを開始。
まず第一の便意の波が来た頃を見計らってS君のかたを手で揺すりながら「作業手伝ってよ!」と言うと、腰を椅子から浮かせ「や‥やるよ…」とマジックを手に持つけれどもそれどころではないらしく字など書けるはずもありません。
そして第二の波が来たときはわざとらしく「どうしたの具合でも悪いの?顔色悪いよ」とにやにやしながらSくんの顔を覗き込むと、「なんでもねえよ、うっせーな」と言い返して来たけどその言葉に力はなく足の貧乏揺すりの間隔もだんだん早くなって「いよいよだな」と。
授業の終了まであと20分もあり、今の様子からしてとても我慢しきれないと思い、人がウンチを漏らす瞬間はめったに見れないのでじっくり観察してやろうと…。
そしてついに最後の波がやってきました。「うぅん…」と低く小さいうなり声を発しS君のさいごの戦いが始まりました。私は椅子をやや引き斜め後ろから観察。机の上に両肘をついて体重を預け、腰を完全に椅子からあげ前後への小刻みな動き。「しぃ‥」と息を吸い込み「ふぅ‥ふぅ‥」息を吐き、そんな動作が1分ぐらい続きやがて浮かしていた腰が椅子の上に戻りました。「これは来たな」と思った私は椅子をS君の近くへ戻して接近、横目で表情を覗き込むことに。再び腰を浮かせると「プス~、ムリムリムリ…」我慢の甲斐なく脱糞、目は涙目で口を半開きにして呆然とするS君。
「どうしたの?大丈夫」と聞くと「おなかが痛い」と蚊の鳴くような声で答えるS君。ここまでくるとやや可哀想に思い、先生に「S君がおなかが痛いそうです」と言って保健室へ連れて行くことに。私は保健委員をしていたので私の出番。ズボンのお尻を気にしながら歩くS君を保健室へ連れて行きました。
保健室の先生が「どうしたの」と聞くので私が「おなかが痛いそうです」と答えると、S君に「ちょっとこっちに来て」と手招き。ベットに寝かせてお腹を触り「どこが痛いの」と聞く先生。そして「あらやだ臭い~。ちょっとお尻見せてごらん」とS君をうつ伏せにしてズボンとパンツをずり降ろすと、パンツにはたっぷりとウンチが…。「あら~、もう出ちゃってるじゃない。トイレでしなきゃだめじゃない。我慢できなかったの?」と聞くとS君は泣き出してしまいました。その様子を見ている私に気づいた先生は「あなたはに戻っていいわよ」とS君を気遣って私を教室に戻しました。
その日以降、S君の意地悪はパッタリとなくなりわたしの前ではおとなしくなりました。