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劣情の解放…序章

トン

『…しもし、もしもし?ゅこ!ごめん…!』
電話の向こうで焦ったようなシュウの声が聞こえる…?

『シュウ、どしたの?』
謝ってもらわなきゃならないことなんて…あったっけ?
ちょっと不安が湧き始めた胸を押さえながらシュウの言葉を待った。

『ごめん、ゅこ…あのサ、さっきまでツトムん家で遊んでて、今バイトに着たんだけど…ツトムん家に携帯忘れたみたいで…ゅこ、取りに行ける?携帯無いし、ゅこの番号しか覚えてなくて…』

なんだ!何か悪さしたから謝ってんじゃないんだ!
まぁまぁ…ヒマだし行ってやるか!

『ぃーお♪ツトムん家ってあのデッカい家だよね?』

浮気とか心変わりとか…ちょっと悪いコト浮かび掛けてた反動かな?
番号覚えてくれてたのが嬉しかったのかな?
ちょっと鼻歌まじりに返事しちゃった。

『そう!○丁目の郵便局の横の筋に入ってしばらく行った角のデカい家!…携帯、ロックは掛けてるけど…一応心配…だし?バイト終わったらゅこん家に取りに行くから!』

心配?…そっか!ちょっと心配かも!
…シュウったら!

さっきとは違う心配と、シュウに対する怒りがちょっと顔をのぞかせてきたが、そんなコト考えてる場合じゃないっ!
早く…早く取りに行かなくちゃっ!

『シュウっ!帰ってきたらいっぱいサービスしてもらうからねっ!』
それだけ言うと家を飛び出し、焦る気持ちを抑えてツトムん家に向かった!

… … …

ピンポーン♪
ピンポーン♪

まさか…留守ってことないよね?
ジリジリした気持ちで広い庭の向こうの玄関を見つめる。

ピンポーン♪

もう一度インターフォンを鳴らすと、そこからツトムの声が流れてきた。

『あっ!ゅこちゃん?もしかしてシュウの携帯?』
明るい声だ。きっと間抜けなシュウのこと笑ってたんだな…。

『そうなの、携帯取ってきてって電話あって…』

ツトム…、シュウに連れられて何度か一緒に遊んだことがある。
正直見た目だけならシュウより好みかな?
…なんてこと言ってる場合じゃない!

『ごめんね、ゅこちゃん!今ちょっと手が離せなくて…鍵あいてるし、取りに来てくんない?』

焦ってた…?
多分。何も考えないまま玄関をあがり、ツトムの声が誘う奥の部屋へと入っていった…。