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劣情の解放①

トン

部屋に入ると…。
ドアの正面の奥、大きな机の前に、リラックスした雰囲気のツトムが回転する椅子に腰掛けて笑ってこちらを見ていた。

『シュウのヤツ、こんなにあわてん坊だったっけ?』
手にした携帯を掲げながら、一層表情を柔らかくしたツトムが見つめてきた…。

『アハッ、どうだろ?なんか考え事でもしてたのかな?』

優しそうな笑顔や、逞しい体つきに見とれてる場合じゃない!
ツトムの筋肉質な腕の先にある携帯を早く返して貰わないと…。
シュウがウッカリしてた原因なんてどうでもいいやと適当に答えながらツトムに近づいた。

…と。
あと一歩で手が届くって位置で、不意にツトムのもう片方の手がパッと目の前で開き、ストップ…という声が聞こえた気がした。

『…?』
ワケが分からないまま反射的にその場で立ち止まる。

『あのさぁ…ゅこちゃん…。シュウに言っておいてよ。「ロック掛けるなら、もっと難しいのにしなきゃ」ってサ!…「2人の誕生日の組み合わせなんて幼稚すぎるぜ」ってサ!』

シュウの携帯に向けられてた視線がツトムの顔へ…。

『…嘘っ?!』

思わず口から出た言葉が頭の中でこだまする。
ニヤニヤと…イヤラシさの浮かぶツトムの表情に、一瞬にして体中が凍りついた。

『ゅこちゃんってアレだね、可愛い顔と…ちょっとおとなしそうな雰囲気で澄ましてるタイプと思ってたけど…かなり大胆なとこあったんだね!』
変わらずニヤニヤしながらツトムが話し掛けてくる。

『…にしてもさぁ~…そこらの派手なナリした子より激しい事好きだなんて…人は見かけによらないよね、ホント』

見られた…?
シュウの携帯の中を…?
シュウにしか見せた事のない私を…?

『あれ?どしたの…ボーっとしちゃって?もしかして、シュウにしか見せてない本性見られちゃったってパニクっちゃった?』

当たり前よっ!
ちょっと…待って…なんで?!

『ゅこちゃんサァ…コレって仲間に配信しちゃっていい?…なんか撮られるの好きみたいだし…ってことは見られるのも興味あるってことだよね?』

…ツトムの顔が変わった。
イヤラシさの中に意地悪な表情が混じった。

『…ダメ…やだ…!』
頭の芯や体が痺れたまま口にした。

『あれっ?!そうなの?!…しっかりカメラ目線でシュウのアレ美味しそうにペロペロしたり…切なそうに自分のアソコ弄りながらシュウに甘えてたりしたから、てっきり…』