恋
りん
あの叶わぬ恋を恋しみながら、毎日射精ばかりして、気がつけば10年の月日が流れていた。
迷わず、疑わず、さらいに行けばよかった。こぼしてしまったすべてを彼女の中に注いでいたならば、彼女もまた、迷わず、疑わず、さらわれたのかもしれない。
始まらなかった恋は、恋のままここにある。
今日も彼女は褪せた液晶の中で、僕を呼んで、自らにとどめを刺す。うつくしい口元を緩めて、恥ずかしそうに笑うんだ。その顔に、胸元に、ぼたぼたと濁った涙が滴り落ちる。
好きだよ、好きだよ、きみにしか言いたくない「好き」があるんだ。